企業とインフルエンサー、それぞれのアカウントの関係性

─── 最初は難しかったですか?
中島:そうですね。最初の頃は「どうやって自分のフォロワーにSuperGroupies(以下、スパグル)を好きになってもらうか」を考えたんですけど、今はスパグルのファンを動かしていく方が数字にも出るんだなって思います。浴衣の回もそうですけど、スパグルのライブ配信を観ている人はたくさんいるんです。でもそこから行動に移してもらう数を増やすためには、私が自分のファンに向けて言うよりも、スパグルファンに対してアニメオタク全開で言う方がいいんだなって。だから1人ではなくて、みんなでライブをする方がいいんだと思います。詳しくないアニメはスタッフの方に助けてもらったり、コーディネートとかファッションのことに関しては私が話したりしながら。
─── 最初は1人でやっていたんですか?
中島:1人で3、40分話してましたね(笑)でもそれも楽しかったです。1人の良かった点は、コメントをちゃんと拾えてたこと。3人だと喋れることも多いし、ちゃんと視聴者の方と喋っている感じが出せているなとは思うんですけど、やっぱりコメントはあまり見られないので。
─── 「スパグルのフォロワーが自分のファンになっているな」って感じたことはありますか?
中島:あります。スパグルから数名、フォロワーさんが来てくれるようになりました。男の人が「自分の彼女に買います」ってDMをくれたり…
─── それは自分のアカウントに来るんですか?
中島:自分のアカウントにも来ます。もともとはディズニーのことを発信していたので、銀魂が好きなことは出してなかったんです。でもちゃんと出すようになってからは、「銀魂について」とか「私も好きです!」っていう内容のDMが来るようになりました。「ずっとディズニーの子だと思ってたけど、銀魂も好きだったんだ」とかそうゆう風に見られるようになってきましたね。
─── 自分をオープンにしたんですね。
中島:オープンにしました。というか、本当はずっとしたかったんです。『私が「アニメが好き」って言ったら、アニメのイメージが良くなる。』みたいなそんな存在になりたくて。でもただ「アニメが好き」って言ってるだけだと、「ただのアニメオタク」って思われるだけなんですよね。…でももし私が有名になって、有名インフルエンサーがアニメ好きだったら、そのアニメの株が上がるじゃないですか。だからもっと頑張らなきゃなって思っています。
─── いい流れですね。でも、前に比べたらオシャレで可愛くてアニメ大好きな女の子って、本当に増えたと思いますよ。
倉園:もともとインスタグラムでオシャレを楽しんでいる人の中にも、実はアニメ好きがいるんじゃないかっていう推測ではじめたので、今実際にそういう人たちが出てきているのかもしれないですね。
─── なるほどね。逆にスパグルの方に「中島さんのフォロワーがきてるな」って感じることはありますか?
中島:あると思います。とくに自分のアカウントで告知しなかった時にも、フォロワーの子がきてたんですよ。だから、両方フォローしてるんだろうなって思いました。
"熱"が画面越しに伝わる?

─── でもやっぱり、やっている側が本当に楽しそうですよね。
中島:楽しいです。だから本当は30分なんですけど、毎回50分くらいになっちゃうんですよね。
倉園:中島さんもどんどん詳しくなってきていて、見たことないアニメも事前に勉強してきてくれたりするんですよ。
─── すごいですね。もともとアニメが好きなんですか?
中島:そうです、もともとアニメは好きで。でも私は少年漫画系のアニメが好きなので、すごく偏りがあるんです。だけど、知らないアニメもちゃんと観るようになってから「あれ、これは分かるぞ」っていうようなのも増えてきて…。でも、私はやっぱり『銀魂(※1)』が好きです。
ソ:そういう絢乃さんのキャラクターも視聴者の方たちが理解してくれていて、『銀魂好きの絢乃さん』というのもちゃんと伝わってるんですよね。
─── すごいですね。でも『銀魂』って、そろそろ終わりますよね?
中島:やめて!
─── 確かに、『銀魂』の話になったら前のめり感がすごいですね(笑)
日下部:それがファンの方たちは面白いんじゃないかなって思います。"おしゃれなインフルエンサー"が本当に好きって言ってるのが画面越しにも伝わるから。だからみんなが共感してくれるんだと思います。
(※1)週刊少年ジャンプで連載している少年漫画、およびそれを原作とするアニメ

─── 本当に好きな人が見たら、それが本当かどうかって分かりますもんね。
中島:そうですね。それに、スパグルはすごく雰囲気がいいんだと思います。アニメのグッズって「これを売ろう」っていうのが見えるけど、売る目的じゃなくて「アニメを好きな人たちがつくりました」っていうのを見せてるから愛が伝わるし、「この人たちが作ったならお金出して買いたい」って思うんだと思います。今インスタグラムでもお洋服を売ったりしているじゃないですか。あれも売りたくて出すっていうよりかは、その子がちゃんと「ここにこだわってつくりました」って出した方が売れるんですよね。だから、作った人がちゃんと"自分のこだわりを伝える"っていうのは本当に大事だと思います。
倉園:あとスパグルの商品はトレンドもかなり取り入れていて、ファッション性が高いんですよ。そういうのを中島さんが「こういうコーデに合いますよ」とかその場で言ってくれるから参考にできるし、スタッフさんもオシャレで可愛くてキラキラしてるから『アニメオタク』みたいなハードルも下がるんだと思います。
中島:それはあると思います。私もスタッフの方たちを見て「この人たちアニメオタクなの?」って思うので(笑)世の中のイメージする『オタク』って、汗をかいていて、メガネをかけていて、不潔っぽい、みたいなのがあると思うんですよね。でもスパグルはそれを感じさせないから買いやすいし「買ったらオシャレになれる」って思えるんだと思います。
─── そうですね。中島さんは他のライブコマースの案件を受けることもあるんですか?
中島:最近「この商品を売ってください」っていう依頼があるんですけど、愛がない商品を売れる自信がないので受けません。せっかく依頼してくださった企業の方に「この子にお願いして売れなかった」と思われてしまうことも嫌だし、自分が好きでもない商品をPRすることでフォロワーとの信頼関係が崩れてしまうことも嫌なんです。だからちゃんと「好きなものをやる」っていうのは守りたいなって思っています。
─── 確かに最近いろんなライブコマースを見るんですけど、いろんなインフルエンサーが同じ時間に同じものを売ってるのとかを見かけるんですよね。そうやって"売ろうとしている"のが見えると、やっているインフルエンサー自身もキツいし、モノは絶対に売れないですよね。…でも、スパグルは自分の商品じゃないですよね?
中島:スパグルは好きだから良いんです。
─── そうなんですね(笑)
中島:でもやっぱり愛情を感じるからみんなが信用してくれる、っていうのは多いと思います。
─── なぜそう思うんですか?
中島:「アニメが好き」っていうのをガッツリ出したのは最近なんですけど、アニメに関してのDMがくるようになったんです。それまでアニメが好きな人たちは、私を仲間と認識してなかったんだと思うんですよね。でも私が全面的に出したことによって、認識したんだろうなって。
─── なるほど。
中島:それに、私がまあまあ好きなアニメの話をしてもあまり反応がないんです。でも、本当に好きなアニメの話をした時って、コメントもバババって反応がくるから、ちゃんと伝わっているんだなって思います。それに、妹も「銀魂好き」って言っているんですけど、妹にはあまり来ないから、私が強すぎるんだと思います。だから熱って伝わるんだろうなって。
─── 何で熱が伝わるんでしょうね?デジタルだし、画面越しだし、テキストなのに。
中島:それは、私のストーリーズを見て欲しいです。文字数も多すぎて読めないと思うんですけど、今ハイライトになっているので。

─── これは・・・スゴイですね・・・
ソ:これは本当に好きな人にしか思えない。
日下部:そうですよね。これでにわかだったら、逆に信じられない(笑)
─── いや、これは伝わりますね。
中島:今までは伝えようとしていなかったんです。だけど伝えようとしたら伝わったので、伝えようとすることが大事なんだなって思いました。
─── 今までは出せなかったんですもんね。
中島:そうですね。やっぱりどうしても偏見があるので…
─── 偏見のコメントがきたことがあるんですか?
中島:偏見のコメントはないです。でもやっぱり、ちょっとフォロワー数が減ったりすることがありますね…。だけどそれもどうにかしたいから、もっとアニメ界のオシャレを盛り上げたいんです。だからもっと表で言いたいです!
─── スパグルで変わったんですね。
中島:今まではオタクでオシャレな人とか、可愛い人って出会わなかったんです。だから、「こんなにオシャレなオタクの世界があったんだ」って思ったら嬉しくて。だったらこれは広めた方がいいし、『もったいない』って思いました。海外に行くと日本のアニメってすごい人気だし、すごいパワーを持っているものなのに、好きだと言っただけで偏見の目で見られるのは本当にもったいない。だから、もっと盛り上げたいんです。
─── それはもうスパグルの社員の話ですね(笑)
中島:今までは、どこでアニメと関わったらいいのかが分からなかったんですよね。
ソ:私もそれは悩んでいました。よくある普通のグッズみたいなのはつくりたくなくて。でも私はアニメもファッションも好きだし、社内でもファッションが好きな人はたくさんいるから可能性が見えてきます。「実は絢乃さんみたいな人がたくさんいるんじゃないか」って。
中島:絶対にいると思います。表立って言えないだけで。
今後の方向性

─── 今後やっていきたいことはありますか?
中島:私はイベントをやりたいです。フォロワーさんたちに会えるようなイベントがあったら、もっとみんなで盛り上がれるだろうし。
─── じゃあ何かしらの特典で、番組観覧みたいなのをやったら面白いんじゃないですか?『抽選で収録を観覧できる』とか。観覧者の方にもカメラを持って行ったりして。
中島:いいかも!面白そう!!
─── こうやってテレビでもやっていた事がデジタルでも同じように広がっていきますよね。企業から、来年に向けてやっていきたいことはありますか?
ソ:ライブ配信でのコミュニケーションがすごくお客さんに近いのを感じたので、もっとライブ配信の数を増やしたいですね。あと商品のページにも、ライブ配信への導線をつくれたら良いなと思っています。そこからもっと商品を知ってもらえたらいいなって。
中島:そうですね。いろいろな所からの流入を増やして、観てもらいたいです。もっとアニメが好きな人たちにも、オシャレを楽しんで欲しい。そうしたら今までの見え方も変わっていくんじゃないかなって思います。日本全体的に、アニメに対しての価値観が変わればいいなと思っているので。
日下部:『ファッションからアニメ』ではなくて『アニメからファッション』を楽しめるっていうのも嬉しいですよね。その人にとっても、また拡がっていきそうで。
─── 中島さん、とんでもない使命感に駆られてますね(笑)
中島:…日本って、すごいこと言っちゃった…(笑)
─── すごく良いですよ。それくらいの覚悟でやっているっていうことですもんね。
倉園:中島さんは、弊社でも優秀インフルエンサーと話題なんです。以前ご一緒した案件でも本当に素晴らしいタイアップ投稿をしてくださって。普段の投稿でもコメントやライブ配信でフォロワーとのコミュニケーションを密に取られていて、アニメも好き・ファッションも得意というところで中島さんに依頼しました。
日下部:本当に、担当してくれたのが中島さんで良かったです。私たちは、商品とかこだわりについては伝えられるけど、ファッション性のところはどうしても難しい部分があって。でもそこをカバーしてくれて、尚且つ本人もアニメが大好きでいてくれて。根本的な部分もちゃんと理解してもらえる方に担当してもらえたのが本当に良かったと思っています。
─── 次の2周年記念には、何かイベントでもやりましょうよ。それに向けてこれからどんどんファンを増やしていきましょう。
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1周年を迎えた企業×インフルエンサーによる『SuperGroupies』のライブ配信。終始和やかなムードで幕を閉じた今回の座談会では、企業とインフルエンサーが協力してアカウントを運用している姿が見られました。決められた仕事をこなすだけでは気づくことができない客観的な意見や学びは、こうした仕事外で話し合いの機会をもつことで見えてくるものですね。当メディアでは、今後も企業とインフルエンサーが "共創" してプロダクトを発信していく場面を追いかけ、発信していきます。