現在の活動について
海外から帰国した後は、「パソコン一つでどこでも仕事ができるようになりたい」と考えるようになったという赤埴さん。フリーランスとして活動するようになるまでのお話や活動していく中で大切にしていることを伺いました。
赤埴:前職ではワードとかエクセルも使わなかったので、基本的なPC操作がなにもできなかったんです。それで派遣でお仕事をしながらパソコンを勉強して、友達と“Good Morning Japan”っていう朝ごはんのワークショップを始めました。それを期に派遣のお仕事を辞めて、今はフリーでお料理やイラストレーターのお仕事を中心に活動しています。
─── お料理とかイラストって、どのくらいの割合でお仕事されているんですか?
赤埴:お料理とテーブルコーディネートが7割くらい、あとイラストが3割くらいですね。あとは企業のSNSアカウントに投稿する写真撮影を担当したりしています。

─── “Good Morning Japan”は具体的にどんな活動をしているんですか?
赤埴:企業さんとのコラボとかイベントで出させていただいたり、朝ごはんを作って食べるワークショップを主催しています。
─── 朝ごはんって、なかなかちゃんと作れないんですよね…。
赤埴:結構毎日ご飯を作るのって大変なんですよね。だから休みの日に『早起きして朝ごはんを作ろう』って思うこと自体がすごいと思うんです。
─── そうですよね。
赤埴:それにせっかくの休みだからって友達とランチに行っても、喋ってたらもう夕飯を作らないといけない時間になって、それだけで1日が終わっちゃったりして。でも朝ごはんだと11時とかに食べ終わって、そのあとの1日を有意義に過ごせるんです。それに朝から美味しいものを食べて楽しい時間を過ごすと、それだけで充実した気分になれるので、そういう気持ちをみんなで共有したくてワークショップをはじめました。
─── イラストレーターとしてはどんな活動をされているんですか?
赤埴:webとか、冊子とか、たまにブランドとコラボしたキャンペーンの時とかに描いています。ものすごく精力的に活動しているわけではないので、恐縮なんですけど…。
─── 企業SNSアカウントの撮影をする際、大変だと思うことはありますか?
赤埴:大変というより、やっぱり緊張します。私は一般のカメラをちょっと使う人みたいな感じなので、もっとカメラマンみたいな技術を求められているんじゃないかなって不安になったり…。やっぱり投稿が良くないと“いいね”もつかないと思うし、ちゃんと期待に答えられているか不安に思うことはあります。
─── 名前を出す訳でもない企業のアカウント運用って、本当に実力勝負ですもんね。
赤埴:そうですね。でも名前を出さずに自分が撮った写真を、知り合いが“いいね”しているのを見たり、フォローしている人を見ると、やっぱりすごく嬉しいです。純粋にその写真が良いからアカウントまで見に行ってくれているんだと思うので。
─── 誰が撮ったかは関係なく、純粋にそのクリエイティブが良いからアクションを起こしてくれているんですもんね。
フリーランスとして働く上で大切にしていること

─── フリーランスとして仕事をする上で、気をつけていることはありますか?
赤埴:『この人とまた仕事がしたいな』って思ってもらえるような雰囲気づくり…ですね。メールが本当に苦手でなかなかオブラートに包めないので、あとで「ちょっと言い方強かったかな」とか反省することがあります。でも会って一緒に撮影したり、料理したりした時に、『この人と一緒に仕事して良かった』『また一緒に仕事したいな』って思ってもらえる雰囲気づくりを心掛けてます。
─── 対、人ですもんね。
赤埴:本当に。それに私は料理も人一倍上手いというわけではないし、世の中とかインスタの中にはもっとすごい人がいっぱいいるから『この人はすごく頼みやすい』とか『ちょっと無理を言ってもうまくアレンジして色々やってくれる』とか融通が利くような人でありたいと思ってます。
─── 素敵ですね。でも結構無茶を言ってしまう企業もあるようで、そういうトラブルもよく聞くんですけど、そのことについてはどう思いますか?
赤埴:でもそれで自分も嫌な思いをして『この人とはもう仕事しない』ってなってしまうのは嫌なので、なるべく伝えられることは伝えて、それでもダメだったらそれまでだと思っています。私は何年か経った後にも「そういえば前にこんな人がいたな」って思い出してもらえる人になりたいと思っています。
これからのこと
自分の持てる経験と知識を発信し続けることで、自分の好きなことを仕事にしている赤埴さん。そんな彼女が目指すこれからのワークスタイルについてお話を伺いました。
─── これからは“作る”とか“撮る”といったクリエイティブ系のお仕事を中心にやっていきたいんですか?
赤埴:出るのも楽しいんですけど、実際は作るほうが好きですし、その方が自分でも達成感があるんです。自分が企画して作ったものを見て、何か新しい発見があったり、“可愛い”とか“嬉しい”とか思ってもらえたらなって。本当に些細なことで良いんですけど、そういうものを作っていきたいです。
─── 今後はどういう働き方をしていきたいですか?
赤埴:がむしゃらに働く時期はもう乗り越えてきたので、今はもうただ自分のペースに合わせて、楽しく心豊かに生活に困らない程度に働けたらいいなって思います。あとは『身体一つで働けるようになりたい』と思ってフランスに行ったので、これからはどこに行ったとしても、そこで朝ごはんのワークショップを開いたり、イラストを描いたり、記事を書いたりできるように、もうちょっと自分のできることを増やしていきたいです。企業に勤めるのではなくて『自分発信で仕事をする』ことが私の目標なので、一つ一つのことをもっとできるようになっていきたいですね。
─── ある程度ジャンルを絞って、ということですよね?
赤埴:そうですね。ミーハーなのでいろいろ手を出したくなるんですけど、自分の得意なことを極めていきたいです。あとはコメントとかDMで「海外に行きたいけど仕事を辞めて行く勇気がない」っていう内容のものをいただくことが多いので、そういう人たちの背中押しみたいなことができたらいいなと思っています。それがどういう形になるのかは分からないですけど…
─── 経験してきたから、気持ちが分かりますもんね。
赤埴:そうですね。…あとは年齢を重ねても『歳を重ねるって素敵だな』って思ってもらえるような存在になりたいです。投稿を見てくれているフォロワーさんも、10年前に雑誌を見てくれていた人たちが殆どなので、今でも覚えててくれているのが本当にありがたいなと思っていて。だから若い子にターゲットを下げていくのではなくて、同世代の人と一緒に歳を重ねていきたいです。
─── 30代前後って、いろいろな転換があってなかなか難しい年齢ですよね…
赤埴:この歳になって正直「大丈夫かな?」って思うことがたくさんあるんですよね。服装とかもそうで、似合っているものを選ぶことが大切なんだと思うんですけど…。だから若作りをするとかではなくて、自分に似合う着こなしができるように上手にアレンジしていきたいと思っています。…もう、いい大人なので(笑)
─── 赤埴さん、ありがとうございました!
ときに笑いを交えながら、終始和やかなムードで幕を閉じた今回のインタビュー。人々が社会に出はじめるよりも前から社会に触れ、多くの経験を積み学んできた赤埴さん。そんな彼女だからこそ、現在はフリーランスとして、こんなにも多くの場で活躍することができているのではないでしょうか。
「『この人とまた仕事がしたい』と思ってもらえる雰囲気づくり」
それはフリーランスの方とお仕事を共にしていく立場にある私たちもまた、心に留めておくべき言葉なのだと思います。