しかしそのルールを知らずにPR表記なく企業からの依頼を投稿したことが火種となり、アカウントが炎上。こうしたステルスマーケティング(通称:ステマ)はあらゆるメディアでも報じられ、話題となりました。

今ではさまざまなメディアの報道の成果もあって『ステマ=やってはいけないこと』という認識が広まり、投稿指定時にステマを要求する企業は少なくなりました。しかし、世間一般的にステマの悪質性が広まった現在においても「PR表記をすることでインフルエンサーマーケティングの効果が悪くなる」という誤った解釈を持ち、あえてPR表記を指定してこない悪質な企業も中には存在しているようです。

今回は、「知らなかった」では済まされないステマのトラブルについてお話を伺いました ──────





Case:13〈ステルスマーケティング(通称:ステマ)でアカウントが炎上〉

〈 インフルエンサーM氏の証言 〉

インフルエンサーとしての活動をはじめて間もない頃、企業からの誘いでPR案件を投稿することになった。しかし企業からはPR表記の指定がなく、自分でもステマがどういうものなのかをしっかり認識できていなかった為、そのまま投稿し炎上騒ぎとなってしまった。

─── 知らなかったんですね。

M氏:そうですね。「ステルスマーケティング」とか「ステマ」という言葉は知ってましたけど、“どういうものがステマになるのか”というのを知らなかったんです。声をかけてくれた企業側からもPR表記の指定はなくて。


─── 未だに“PR表記をつけて投稿をすると効果が半減する”と思っている企業は多いみたいですよね。今回は「つけないでください」と言われたわけではなかったんですね?

M氏:そうですね。でも知らないのを分かってて指定に入れなかったんじゃないかと思うんです。直接的に打撃を受けるのはインフルエンサーの方だし、“明言しなければ企業側に非はない”という考えだったんじゃないかなって…。


─── 企業も炎上することで降りかかるリスクをもっと重く受け止めなくてはいけませんね。

M氏:炎上して直接的に打撃を受けるのは、やっぱりインフルエンサー側なんです。なので企業側ももっとそういう配慮をして欲しいです…


─── 依頼を受けてくれたインフルエンサーの信用を奪うことになってしまいますよね。炎上した時は実際にどんなことが起きましたか?

M氏:もう誹謗中傷のコメントは当たり前でした。あとは居場所の特定をされたりして、電話がかかってきたりもしました…


─── 怖い…。。知らなかったとはいえ、その1回でそこまでされるんですか…

M氏:本当に怖かったですし、すごく後悔しました。


─── そうですよね。依頼する企業側もPR表記を促す配慮は絶対にすべきですね。あとは依頼を受けるインフルエンサー自身もステマのことを知っておくことが大切ですね。炎上してしまったあと、アカウントはどうなったんですか?

M氏:落ち着くまではしばらく活動を休止して、数ヶ月してほとぼりが冷めた頃に少しづつ活動を再開しました。


─── SNSってすごく便利な反面、間違った使い方をしてしまうと本当に怖いですね。ステマをなくすには、どうしたら良いと思いますか?

M氏:『ネットを扱う側として、インフルエンサー自身が正しい知識を身につけなければいけない』と思いました。起きてしまったら「知らなかった」では済まないんです、本当に。相手に不快な思いをさせない為にも、自分を守るためにもネットのリスクはしっかりと学んでおかなければいけないと思います。


─── 企業側の意図に関わらず、ステマの知識があれば自分で予防ができますもんね。

M氏:そうですね。個人として仕事をする以上、自分を守ることができるのは結局自分しかいないんです。だからSNSを活用して仕事をしていくのであれば、自分でSNSのリスクを勉強しないと駄目なんだなと思いました。





LAST RESORT


*対価を貰ってPR投稿をする場合は指定がなくても必ずPR表記をつけること

*ステマやネチケットと呼ばれるネット上でのリスクやモラル・マナーを理解しておくこと


自分の得意なことや好きなことを発信することで影響力を得たインフルエンサーが次なるビジネスのステップへと進む決意をした時、そこには今までとは違った“仕事意識”が求められるようになります。フリーランスとしての仕事を請け負うようになった瞬間から、自分の身に降りかかりうるリスクを考え、自分をマネジメントしていく必要があるのです。

企業がインフルエンサーに依頼をするのは、インフルエンサーが“SNSを知るプロフェッショナル”だと認識しているからです。インフルエンサーは今、SNSにおけるプロフェッショナルとして、フォロワーや企業からも大きな期待を背負っているのです。

ときに企業側から、今回のような浅はかな指定や無茶な要望が来ることがあるかもしれません。その時は、企業の要望すべてを受け入れるのではなく、できないことはしっかりと「できない」と伝えること。そうして少しづつでも企業とインフルエンサーの間に生まれる溝を埋めていけるようになれば、企業と個人が対等に付き合える社会が近づいてくるのではないでしょうか。


自分がもし、こんな場面に直面したら?リデルでは、まだまだ生まれたばかりのインフルエンサーという存在がしっかりと自立/自律を成し、個人の可能性を最大限に発揮できることを目指し活動しています。








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