クレイジーパパの誕生

- 価値観を変えた"アメフト"との出合い

 「高校生までは、今とは全く違うノットクレイジーな人間でした」そう語る北村さんは、今のスタイルに辿り着くまでに多くの壁にぶち当たってきた。彼の価値観をこれほどまでに変えた“出合い”とは?


北村さん:学生時代は、いわゆるどこにでもいる優等生タイプでした。中学では生徒会長、高校は名門野球部で3年間勉強と野球漬けの毎日……。加えて一般学生からは通称「監獄」とも言われていた寮生活で、携帯も無ければ、外出は近所のスーパーぐらい。厳しい上下関係に、礼儀を大切にする環境でした。

─── 今の生活からはかけ離れた生活に思えますね。

北村さん:そうですね。当時は「言われた事をいかに正確に実行できるか」というのが物事に取り組む上での最優先事項でしたね。

それでも、ずっと目標としてきた甲子園に出場することができました。でも、甲子園後にスランプに陥って……。今思えばスランプを脱出した時に価値観が変わったのだと思います。言われた事を上手くやるのでなく、ありのままの自分でいいんだと。そして、それを確信に変えたのがアメフトとの出合いでした。

─── アメフト……。

北村さん:大学入学後は、野球部を1ヶ月で辞めました。“ありのままの自分”は、野球ではなかったんです。そんな時にアメフトに出合い、直感的に運命を感じました。アメフトならありのままの自分を表現できる、最高にエキサイティングできるって。その結果、世界大会で19歳以下の日本代表に選ばれてアメリカに行ったんです。

─── いきなり世界大会ってすごいですね……

北村さん:本場アメリカ、そして全米No1エンターテインメントを肌で感じました。その時に、僕の選択は間違ってなかったと確信しました。試合では、体格差2倍くらいのアメリカ人相手に突っ込んでいく仲間を見て、「世界に向かってこんなに本気で、プライド持って戦っている奴がいるんだ」って。それで、ますますアメフトにのめり込むようになりました。帰国後、この感覚を知ってしまった僕は、日々この時の感覚を超える何かを追い求めるようになったんだと思います。昨日よりも今日、今日よりも明日っていう感じで。

‐ 動画投稿の先駆者、クレイジーパパ現る!

 クレイジーパパが誕生したのは2016年6月。インスタグラムに動画機能が搭載されたのはその僅か2ヵ月前の2016年4月。当時は流行に敏感な一部のユーザーにしか利用されていなかったインスタグラムで、動画投稿をするユーザーは稀だった。

─── SNSは好きですか?

北村さん:好きですよ。SNSから新たな世界に出会う事ができて、人生が楽しくなりました。

─── SNSはもともと利用していたのですか?

北村さん:25・6の頃、ベンチャー企業で働いていた時にソーシャルの集客を担当していたので、すごく身近なものではありましたね。仕事では業界1位の集客力を達成して、「どうやったらソーシャル上で人は動くのか?」というのをビジネスの実践を通して学んでいました。そこで、SNSについて深く考えるようになりましたね。

─── なぜ、動画をやろうと思ったんですか?

北村さん:28くらいで立ち上げた事業を譲渡して、もっと面白いものを追い求めていたときに、「動画がくるらしい」というのを聞いて。当時は料理の1分動画みたいなのが出始めで、じゃあまずは料理だ、という流れで。だからクレイジーパパって、初めは料理を中心に出していたんですよ。

─── 北村さんは、栄養学も学んでいたのだとか?

北村さん:2015年、30歳のアメフトシーズンは、ベスト4で敗戦。日本一になるにはフィジカルアップ、そのために栄養、食事に徹底的にこだわろうと思いました。敗戦した1週間後にはパーソナルトレーナーに通って、独自で栄養学を学び、料理、食事に気を遣うようになりました。

自分がクレイジーパパになって初めて包丁を握ったから、子どもにはちゃんと料理もするようになってもらいたかったし、食事の大切さ、感謝の気持ちを知って欲しかったから、じゃあ抱っこで、、ってあの動画ができたんです。

─── パスタの動画、面白かったです。

北村さん:息子のリアクションが最高でしたからね(笑)最初にバズったのはハンバーグのやつで、一気にフォロワーが1日に300人とか増えて。やってて手応えを感じましたね。

─── バズった原因ってなんだと思いますか?

北村さん:中毒性のあるもの、何度も繰り返し見ちゃうもの。あとは音量がなくても楽しめる。さすがに電車とかで音出して見れないと思うんで、僕の動画(笑)あとやっぱりインスタって女性が多いので、可愛いとか癒しで子供が入ってたのが良かったんだと思います。

インフルエンサーの枠を飛び出したパパ

 昨年9月に2児の父親となった北村さん。「インフルエンサー」と言う影響力を発展させて、プロジェクトベースで教育改革の活動に徹する姿は、もはやインフルエンサーという枠から大きく飛び出しているような印象を受ける。

─── 去年、第2子が産まれて心境の変化はありましたか?

北村さん:去年は葛藤しました。人生のバランスを失いかけました。父親、旦那、イノベーター、クレイジーパパ、アメフト選手とざっくり5つぐらい顔があって。当然何かを得るには何かを捨てないといけないわけで。その捨て方が父親としてカッコ悪かったし、中途半端だった。その時に学びましたね。何かを捨てる時、心まで捨ててはいけないと。でも、挑戦・失敗からまた大きな学びを得ることができました。独立して5年目だったんですが、葛藤もありながら飛躍できました。

─── 今年挑戦したいことはありますか?

北村さん:今年は、「リアル」と「世界」

 「リアル」ってところでいうと、クラウドファンディングでキャンピングカーに乗って、フォロワーさんに会いに行こうと思っていて。子供のためにできること、絶対もっとあると思っていて。

─── フォロワーさんとの交流のために?

北村さん:みんなで人生や子育てに対する考え方を共有しあえたらいいなって。メッセージやコメントで共有しあうって事もできるんですが、何か違うなと。薄いんですよね。

─── 薄い、とは?

北村さん:薄さを一番感じるのが「ありがとう」という感謝の気持ちです。世の中便利になりすぎて、本来もっと感謝の気持ちを感じないといけない、伝えないといけないっていう現象があると思うんです。こういう現象が起きると、感謝される側のアクションも希薄化しちゃうんじゃないかって。クレイジーパパでいうとSNS上で質問を受ける事もありますが、どうしても返信が希薄化してしまう。これはそうした理由が少なからず影響していると思います。

だからこの「ありがとう」って気持ちを可視化できるようなものにしたくて、可視化できるコミュニティサービスの開発を進めているところです。そしてコミュニティサービスの中で子どもと大人をつないで、子どもに希望を与えられるようなサービスを作りたい

─── たくさんいいねが貰えて、普通だったら嬉しいところを希薄と捉えるのは珍しいですね。

北村さん:そうゆうのも、クレイジーパパをやっていなかったら分からないことでした。インフルエンサーをしていて良かったと思うのは、お金で買えない経験ができていることです。自分の知らない世界に連れて行ってくれる、自分の知らない人に会えるとか、そうゆう部分。

─── では、「世界」の部分でいうと?

北村さん:「世界」は、デンマークの企業とタイアップしてプロジェクトを進めています。“子供に自由な遊びとハッピーなカラダを”っていうコンセプトで。子供がスクスク育つために親としてどんな環境を用意してあげて、どんなスタンスで子供に接し、健やかな成長には何が必要なのか?科学的な観点でアプローチして、日常の子育ての場面に落とし込んでいく。人間のカラダって、運動を通して神経系統を鍛えること、食事を通して脳に適切な栄養を届けることで、日々の生活が変わり、そして未来が変えられるんです。そう、すべては未来を創る子供のために自由な遊びとハッピーなカラダを届けに行くんです。

2018年2月に、デンマークに行って“世界一幸せな国”と言われているデンマークの教育を体感してきました。あとは、東京オリンピックが終わったタイミングで、世界一周旅行をしようと思っていて。アメリカに行ったときに自分の考えが変わったように、子どもにはもっと早いうちから異文化に触れて欲しい。

─── クレイジーパパの活動を通して、一番伝えたいことは何ですか?

北村さん:子供に優しい日本にしていきたい。「子供にとって何がいいのかな?」そう考えて行動できる人が増えて欲しい。だから僕は今日もクレイジーパパとして生きています。

「インフルエンサー」という活動の中で

 個人が発信力を持つことで、どんどん個人の活躍の場が増えている。今後のインフルエンサーの動きについて尋ねてみると、「人を巻き込み新しい価値を生み出していけるか」が重要だと北村さんは言う。


─── インフルエンサーというフリーランサーの中で、生き残る人ってどういう人だと思いますか?

北村さん:新たな価値を生み出し続けられる人だと思います。そして人に影響を与え、人を巻き込める人だと思います。インフルエンサーは受身になりがち。案件を待つのではなく、自分から案件を創り出していく。そして新たな価値を出し続け、人に良い影響を与える

今、インフルエンサーって個で活動する事が多いと思うんです。でも、この個をリデルさんみたいな会社が束ねて動かしていくと、大きなうねりを生み出していけると信じています。PRとかプロモーション、流行の枠を超えた新しい価値の創造を。……ごめんなさい、僕が経営者だったらそんなのいいな、なんて思っちゃって(笑)皆で力を合わせれば引っくり返せちゃうからね。

─── 北村さんが自分の中で、一番大切にしていることって何ですか?

北村さん:ありのままの自分でいること。だから自分が心からやりたい事をやるし、家族と一緒にいる時間を大切にしたい。

─── 今年の「クレイジーパパ」の見どころを教えてください。

北村さん:今年は世界一周に向けて、ダンススクールに通い始めたんです。音楽とかダンスって国や言葉関係なしにコミュニケーションが取れる最高のツールだと思っていて。だから今年はダンス動画が上がってくると思います(笑)







─── 北村さん、ありがとうございました!


元気がみなぎる「@crazypapa.TV」のインスタグラムには、子どもの教育や成長に対する熱い思いが込められていた。次々と溢れ出てくるアイデアのボキャブラリーに驚きつつも、こんな風に先陣をきって道を切り開いていくクレイジーパパには尊敬の念を抱いた。未来の大人を育てる子どもの教育に、大きな革命が起きる日も近い。




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